進化したのは、あくまで「車両」です。
題名は「進化する路面電車」です。
鉄道関係本に分類しました。
「路面電車」という交通機関。
それに用いられる車両のトレンド、とくに最近一部で導入が進んでいる「超低床電車」(「ちょうていしょうでんしゃ」、「低床」が一発で変換できなかった・・・)の「すばらしさ」に結び付けて、その未来を展望しています。もちろん明るく、希望的に。
どうなんでしょうね。
やや強引、と思いましたし、超低床電車が路面電車の救世主のように語り、「21世紀を先取りした進歩的な乗り物
」とまで言ってしまうのは、ちと言いすぎ、持ち上げすぎではないかと思うのです。
こうした車両の導入如何に関わらず、路面電車の趨勢はどうひいき目に見ても現状維持、そうでなければ「衰退」でしょう。
むしろ、こうした新型で高機能高性能な車両をじゃんじゃん導入できるのは「特例」であると思うのです。それが現実でしょう。
もちろん、路面電車のさまざまな利点は認めます。
認めますが、そんな利点を凌駕する利点が、他の交通機関の組み合わせで実現できているから、多くの都市では路面電車は廃止されていったわけで、そういう都市では、路面電車を必須としないインフラができあがっている、ともいえるわけです。
それを、一部の路面電車で超低床電車を導入して成功した、車両も国産化(当初は輸入だった)に成功した、ということを取り上げて、「路面電車復活の兆し」ととらえてしまうのは、ちと風呂敷の広げすぎ、過大評価というものでしょう。
この本では、その「超低床電車」の技術専門的領域、スペックの話へとグググッと入っていくのですが、深入りし過ぎて、ここでも著者独り(この本の著者は2人ですが)が悦に入っている感じです。
「あぁそうですか」以上の感慨があまり湧きません。
それは「国産化プロジェクト」の話も同じようなもので、開発に当たっての苦労話とか、エピソードなどをいくつか披露はしていますが、あまり胸を打つような感動的な話ではありませんし(期待していたわけでもないですが)、「へぇ」以上の感慨があまり湧きません。
でもって、この「超低床電車」の「すばらしさ」を一通り喧伝して、再びこの車両が路面電車を救うことになる(かもしれない)と、路面電車の未来を希望的に展望しています。
しかし、やはり「車両の進化」で救えるほど「路面電車」の現状は生易しくないし、問題は単純ではない、と思うのです。
「路面電車がない」ことが当然となっている地域、人々がもはや「マジョリティ」なのです。そういう人たちにとっては「忘れられた存在」でもあるのです。
くどいですが、路面電車の利点は認めます。超低床電車のすばらしさも認めます。
認めますが、どうがんばっても路面電車は「現状維持」であって、「拡大」は極めて難しい、それが現実なのだと思います。
「超低床」だけで「底上げ」できるほど甘くはないぞ、と。
今の交通機関(自家用車含む)に対して、ものすごく強い何かのインパクトを与えるものが見出せれば話は別ですが。
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電子メール:******
数日寝かせておれもレヴューを書く予定でいますが、おおむね同感です。
なんていうか、LRTとLRVの混同というのは以前からよく見られた現象ですし、LRV=超低床車という誤解も根強いものがあります。なんかその路線にどっぷりつかった大誤解本のひとつ、という位置づけがよろしいんじゃないかというのがおれの感想ですね。うーん。
個人的には、わずかな数の超低床車を入れてしまった結果「ホームの嵩上げによるバリアフリー化」(都電荒川線や東急世田谷線が採用したもの)という可能性をつぶしてしまう、という展開になることが気になっています。土佐とか岡山とかはそういう道をたどっているような気がしてなりませんし、そうなってしまうとLRVって逆に路面電車の根本的体質改善を妨げるものにすらなりかねないんじゃないのかなあ。
なお、技術的な説明にも間違いがありましたし(ボルスタレス台車は台車がカーブで首を振らない台車ではありません)、左右独立懸架については既存の鉄道技術とは大きく異なる(曲線通過のメカニズムが異なるはず)のでそのあたりの説明をせにゃならんかったのではないか、とか思います。
総じて、あまり評価のできる本ではなかったなぁ。売っちゃおうかしらん。
電子メール:******
丁寧なコメントと補足ありがとうございます。
表面的な流行とかはやりとか、そういうものに流されることなく、もう少し深いところまでさぐって、本当の姿というものを見極められるようになりたいものです。
チラッと貴ブログ拝見しました。
行動的で積極的に活動されてるようでうらやましい限りです。いろいろ有益な情報も詰まっていましたので、これからもちょくちょく拝見して参考にさせていただきます。